【書評】勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法

勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法

勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法

手に取った理由

ふらっと立ち寄った本屋さんで、「一押し」コーナーに本書が平積みされていました。 自分も資格試験を時々受験しますが、その勉強というと特に何も考えずにひたすらテキストを読み、問題集を解く手法なので、なんとなく「これでいいのか?」と感じていることもありました。

そんな時に本書を見かけ、何かヒントになるものはないかと思い購入しました。

感想

著者である伊沢 拓司さんが大学受験に当たって実践された勉強のメソッドが分かりやすく解説されています。自分が特に感銘を受けたのは受験に当たって実践された以下の手法です。


①まず「勉強法」を決める

 「勉強法」とは、"ゴール"(目標の大学)に向かうベクトルのこと。
 目指す大学によって問題の資質が異なる。
 目指す大学合格までの「最短ルート」を考える。(どういった勉強が、どの程度必要となるか)
 そのルートにおける、自分の今のポジションを把握する。

②「勉強法」に従いひたすら勉強する
③日々の勉強を評価する

 「今日の勉強で、本番の点数が何点上がったか」という具体的な指標を設け、
 勉強内容を毎日評価する

④「勉強法」を調整する

 日々の評価を踏まえて自分のポジションを再確認し、
 ”ベクトル”を調整しながら明日の勉強に反映する


これを見て自分は、ビジネス界でよく耳にする「PDCA」を思い出しました。

勉強法を考え、大学合格までの道筋を「計画(Plan)」し、それを「実行(Do)」する。
毎日「本番の点数に何点近づいたか」という具体的な指標をもとに勉強を「評価(Check)」して
ベクトルを「修正(Action)」する。このサイクルを繰り返し、目的を達成する様はまさに「PDCA」ですね。

この勉強法の手法で特に注目すべきは、指標(日々のチェックポイント)の設け方です。

勉強の場合「今日は○時間勉強した」といった”勉強時間”を指標の軸に考えがちですが、集中した1時間とだらだらした1時間とでは勉強の質が全く異なります。 この「勉強の質」を"勉強時間"で推し量ることは本来できないのですが、簡単なのでつい"時間"を軸に評価してしまいます。
私もそうでした。半分寝たような状態でも「1時間勉強したからまあいいや!」みたいな・・・


そこで著者は、「勉強時間」という軸を固定にし、その他の要素で比較して振り返ることを提唱しています。 例えば「今日の10時間は昨日の10時間より成果が出た気がするな・・・」と振り返ったとします。
"成果が出た"だけでは何を成し遂げた結果なのかよく分かりません。
そこで、成果=本番の点数が○点上がったと定義し、評価するというものです。

この「今日の○時間の勉強で本番の点数が1点上げられたか」という観点で毎日の終わりに振り返り、 「今日は基礎をおさらいしたから、直接的に点数にはならなかったけど、応用問題で見返りがあるはずだ」 「今日は集中を欠いてなぞるだけの復習になってしまった。これでは点数にならない」 という気づきを得て、明日の勉強に生かしていくのです。

とても腑に落ちる考え方でした。
確かにPDCAの考え方は、ビジネスに限らず実生活でも応用できます。
ただ、それを個人で継続していくのはとても精神力のいるものです。
目標に向けて自分を厳しく律していくモチベーションも維持していかなければなりません。
でもその目標が、「どうしても自分が成し遂げたいこと」なのであれば、それも可能かも知れませんね。

モチベーションの話はさておき、今後の資格試験にあったってはこの「勉強法」を実勢していきたいと強く感じました。